今日はインダサンとの約束の夜、彼は必ず来てくれる。 でももし来なかったら、それが怖いの。 裏切られることには慣れているの、裏切られるのは何時ものこと・・・、だから分かるの彼は約束を必ず守る人だと。 だから、もし彼が来なかったら、それは・・・
ダリアは朝から約束の場所に来て、物陰に隠れ暗くなるのを待った。 約束の時間、それは去年インダサンと別れた時刻。
ダリアは静かに顔を上げ暗闇に目を凝らしたーーー丘の上、夜の空に浮かぶ見覚えのある人影。
「本当に来てくれたのね」
「ダリアか、久しぶりだな」
「来てくれるとは思わなかったわ」
「約束は守るさ、生きている限りは」
ダリアの目から涙が溢れた。 そう、アイツはインダサンを連れては行かなかったーーー私だけを残して弟もママも連れて行ったようには。
「泣いているのか?」
「弟とママが、私だけを残して死んでから泣いたことはないわ」
「・・・」
「ロケットの飛ばし方を教えてくれるんだよね、インダサン」
「そういう約束だ。 だから今夜ここに戻ってきた」
「やっぱり本当だった」
「夢だったとでも思ってたのか?」
「あの夜、インダサンが信じられる人だと感じたこと。 そんな風に感じたのはママ以外で初めてだったの」