「ところでスパイク、最近テッラ島の状態があまり良くないようだが、報告書は届いているかな?」
「はい、キャプテン。 調査の一次報告書が届いています」
辺境の地にあるテッラ島、正確には惑星ーーー辺境探査船乗りの慣わしで、調査対象の惑星のことを ”島” と呼んでいる。
多様な文明の広がる宇宙空間、その辺境、そのまた僻地、まさにガラパゴス的空間に浮かぶテッラ。 あまりに辺境すぎ、異文化の影響をまったく受けずに独自の進化を遂げ、学術的に非常に貴重な惑星、いわば宝島。
「ランチ前で悪いが、簡単に説明してくれないか?」
「一つの生命体が、異常な進化の仕方をしているようです。 結果、その生命体だけではなく島全体のバランスが崩れ始めています。 これから大きな変動期に入ると思われます」
「外的要因とかは?」
「外的要因は、無いようです」
「ある種のバグが原因か・・・、あるいはそれ自体がデフォルトなのか、その辺りは詳しい分析で明らかになるだろう。 対処はそれから考えよう」
「はい、では経過観察ということで」
「じゃ、ランチにするかスパイク」