もし生きていたなら 02

 一本の光の軌跡が夜の空へと昇る、そしてまた一本の光の軌跡が。 それは海賊達が闇へと飛び出すロケットの光跡。

 「どうだ、綺麗だろう」

 「おじさんもロケット乗りなの?」

 「ああ、明日の夜に飛ぶ」

 「私も飛べる?」

 「ああ、でもまだ小さすぎるな」

 「もっと大きくなったら、飛び方を教えてくれる」

 「ああ、教えよう」

 「もしそれまで生きていたら、絶対に教えてよ」

 「お嬢ちゃん、名前は?」

 「ダリアよ」

 「もし来年の今日、ここでまた会えたら教えよう」

 「おじさんの名前は?」

 「インダサン。 それまで生きてなよ、ダリア」

 「おじさんもね」

 次の日の夜、男は帰ってこれることを祈りながら夜の闇へと飛び出した。 そしてダリアはいつか夜の空に飛び立てることを願いながら、ロケットの光跡が流れる夜空を見つめていた。

 

 

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