一本の光の軌跡が夜の空へと昇る、そしてまた一本の光の軌跡が。 それは海賊達が闇へと飛び出すロケットの光跡。
「どうだ、綺麗だろう」
「おじさんもロケット乗りなの?」
「ああ、明日の夜に飛ぶ」
「私も飛べる?」
「ああ、でもまだ小さすぎるな」
「もっと大きくなったら、飛び方を教えてくれる」
「ああ、教えよう」
「もしそれまで生きていたら、絶対に教えてよ」
「お嬢ちゃん、名前は?」
「ダリアよ」
「もし来年の今日、ここでまた会えたら教えよう」
「おじさんの名前は?」
「インダサン。 それまで生きてなよ、ダリア」
「おじさんもね」
次の日の夜、男は帰ってこれることを祈りながら夜の闇へと飛び出した。 そしてダリアはいつか夜の空に飛び立てることを願いながら、ロケットの光跡が流れる夜空を見つめていた。