ウガンダの国境ポストから、誰もいない一本道を二時間歩いてコンゴの国境ポスト。 そこにはイミグレーションとカスタム兼用の簡素な建物、そして町まではまだ20キロ。 歩くのが特に趣味でもない俺は、町までの移動手段を捜すが無かった。 正しくは、昨日トラックがあったが、次は来週になるという・・・早い話が、一週間に一便の時刻表。
メッチャ貧乏な国と貧乏な国との、ほとんど人も通らない小さな国境ポスト。 何もないだろうと思ったが、本当に何もなかった。 宿も無い、メシ屋も無い、店も無い、民家が十数件散らばるだけだった。
とにかく、20キロは歩きたくないーーーまあ、金で解決する手もある。
国境ポストのオフィサーに両替の話をふってみる。 彼らは当然のように、公式レートの半分のレートを言ってくる。 ブラックマーケットでは公式レートの五倍になるはずなので、丁重に断った。 おそらくごく稀に現れる、気まぐれ金持ち旅行者は彼の言い値で両替し、国境ポストの公用車をチャーターするのだろう。
ウガンダから持ち込んだ、コンゴザイールを持っていたが、公式には持ち込み禁止となっているので、彼らには使えない。 最悪、没収される可能性もある。
で、野宿決定。 そしてサバンナでの野宿の鉄則は、民家の側。
という訳で、一軒の民家に多少の謝礼を払って庭先での野宿を頼んでみる。 まあ、たまに現れる貧乏旅行者は同じことを考えるのだろう、おばさんは驚きもしない。 そして食事も提供できるという。 結果、居心地の良い庭先で、なんと食事付き野宿。
急ぐ旅行でもないし、これで全ての問題は解決・・・そう、思った。 しかしここはアフリカ、そうここはアフリカ・・・やはり、トラブルのネタは尽きない。
初日の夜の食事は、ボイルドバナナーーーアフリカの定番、茹でたバナナはサツマイモの味。 二日目の朝、フレッシュバナナーーーおばさんが庭先のモンキーバナナをくれた。 二日目の昼、フライドバナナーーーバナナの一本揚げ、アフリカの定番おやつ。 二日目の夜、ボイルドバナナーーーとにかくアフリカの定番、文句はない。 三日目の朝、フレッシュバナナーーー庭先からの採れたて、超フレッシュバナナ。 三日目の昼、フライドバナナーーー揚げたて出来立て、熱々バナナ。 三日目の夜、ボイルドバナナーーー絶対的なアフリカの定番、それはお袋の味。 四日目の朝、フレッシュバナナーーー自分で収穫、超絶新鮮フレッシュバナナ。 四日目の昼、フライドバナナーーーおばさんの愛情たっぷり、熱々アフリカの愛。 四日目の夜、ボイルドバナナーーー超絶絶対的なアフリカの定番、おばさんに文句は言えない。 五日目の朝、フレッシュバナナーーー自分で収穫しようとするが、腕が拒否する! 五日目の昼、フライドバナナーーー俺の目が、フライドバナナを見ることを拒否する!!!
俺の体が、勝手にバナナを拒否する・・・そして俺は20キロ歩くことを決意し、決断し、宣言した。
宣言したが、皆んなに止められた。
町までの20キロの道、その道では毎年何人かがライオンに食べられているそうな。 そこはナショナルパーク内ということで、ライオンに喰われても、喰われっぱなし。 ライオンにはお咎め無しということで、ライオンも図に乗っているとか。
アフリカ究極の二者一択、ライオンに喰われるか、バナナを食べるかーーー俺は当然、バナナを選択した。
あぁ、怖!
どの記事もおもしろくて、特にバナナの回はつい笑っちゃいました。
レインボーファミリーの旅を見れて嬉しいです。ありがとう。
ありがとうございます