ハイウエーに立ち、親指を突き上げヒッチハイク。
この場所に立ち、すでに五時間を超えるが一台の車も止まらない。 まあ、慣れてはいるが気が滅入る・・・世界から見捨てられたような気分だ。
一日に十数台しか通らないジャングルで、三日間待ち続けたアフリカを思えば、まだ余裕と自分を慰める。 とにかく目の前のハイウエーには、絶えず車が走っている。 暗くなるまでには、何とかなるだろう。
それにしても五時間も待てば、色々と考えたくもなる。 俺を拾ってくれる車など、走っているのか? もし、走っていたとして・・・何台? 一台、それとも二台? その車は、いつ来るのか? もしかして、すでに行ってしまったのか・・・空を見上げていた時に、草陰でクソをしている間に? もしかしたら、今までがラッキーだっただけ・・・そして今日から、その幸運からも見放されて・・・そう、俺を乗せてくれる車など、世界中のどこにも走っていない・・・絶対に来ることのない車を、俺は待ち続けているのか・・・
陽が傾き始めたせいなのか、あるいは昨日の天気予報どうり寒気が近づいているせいなのか、気温が下がり始めた。 そして雲行きも怪しいような。
とにかく、この場所を離れたいーーーなりふり構わず、笑顔を振りまこう。 通り過ぎるドライバーと目を合わせ、笑顔を送れば多少なりとも幸運の可能性は上がるだろう。
今まで気に留めなかった、走り抜けるドライバーに注意を向ける。
彼らは・・・、俺は凍りついた・・・彼らは同じ服を着て、同じ髪型、そして同じ顔・・・遠い一点を見つめ、無表情にハンドルを握る。 彼らは何を見つめ、何処へ行こうと? それにしても、このハイウエーは何処に向かっているのか・・・