アニー

 「仕事ない?」  久しぶりに訪ねてきたアニーだが、私の顔を見て最初に発した言葉だった。  「金が無いのか?」  「無いわ。 明日のホテル代が、無いの」  旧市街モナスティラキの路上で知り合ったイギリス人のアニー。 二十… 続きを読む アニー

ベアフット・ジョン

 私がベアフット・ジョンに会ったのはメキシコ、パレンケ遺跡近くのキャンプサイト。 そのサイトは、茅葺のあずま屋の柱にハンモックを吊るして寝るという、いたってシンプルにして快適な仕様になっていた。 もし問題があるとすれば、… 続きを読む ベアフット・ジョン

役者 Kamikaze

 アムステルダムの運河沿い、ごく一般的な住宅街のアパートの一室。 イギリス人から仕事としての1キロ、そしてプライベート用の30グラムプレート4枚を受け取る。 ビジネス品と自分用では値段に四倍近くの開きがあるが、それだけの… 続きを読む 役者 Kamikaze

カミカゼライダー

 夕方のモナスティラキ、パルテノンを仰ぎ見るローカルカフェ。 一杯のギリシャコーヒーで友人達と怠惰をむさぼる、ギリシャライフ。  私のバイクの話になったーーー50年代のBMW、R51にサイドカー。  いったい何人乗れるの… 続きを読む カミカゼライダー

アフリカの風

 ロッテルダム、アウデ・ビネン通りのカフェ。 いつものカウンター席に座り、通りを眺めながら紅茶にジョイント・・・それはバスキング前、朝のルーティン。 一年に300日雨が降るといわれるオランダ、しかし今日は朝から青空が広が… 続きを読む アフリカの風

初めてのオートバイ

 カーニバルが終わり、イースターまでのギリシャの短い春・・・街は冬眠から目覚め、バカンスシーズンへの準備に騒ついている。  アテネの冬は意外と寒い。 そんな冬も終わり、初夏の日差しを浴びる気分は、最高。 気分最高につられ… 続きを読む 初めてのオートバイ

ヒッチハイク

 ハイウエーに立ち、親指を突き上げヒッチハイク。  この場所に立ち、すでに五時間を超えるが一台の車も止まらない。 まあ、慣れてはいるが気が滅入る・・・世界から見捨てられたような気分だ。  一日に十数台しか通らないジャング… 続きを読む ヒッチハイク

バナナ三昧

 ウガンダの国境ポストから、誰もいない一本道を二時間歩いてコンゴの国境ポスト。 そこにはイミグレーションとカスタム兼用の簡素な建物、そして町まではまだ20キロ。 歩くのが特に趣味でもない俺は、町までの移動手段を捜すが無か… 続きを読む バナナ三昧

屋根裏部屋のマリア

 ドアは開かない。  三週間ほど前に、バールでドアをこじ開け住み着いたこの家。 このブロックは来年早々のリノベーションが決まっており、住めるのは長くても半年ということで、鍵は付け替えなかった。 代わりに、ドアの郵便受けか… 続きを読む 屋根裏部屋のマリア