もし生きていたなら 02

 一本の光の軌跡が夜の空へと昇る、そしてまた一本の光の軌跡が。 それは海賊達が闇へと飛び出すロケットの光跡。  「どうだ、綺麗だろう」  「おじさんもロケット乗りなの?」  「ああ、明日の夜に飛ぶ」  「私も飛べる?」 … 続きを読む もし生きていたなら 02

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カテゴリー: ダリア

ドアの向こう側

 私の住んでいる大きな家はコミューンと呼ばれていて、七人の大人と五人の子供が一緒に住んでいるの。 その家は静かな田舎町にあって、とても楽しい毎日よ。  素敵な所だね  そうよ、みんな素敵な人達で、家の中はいつも笑い声がい… 続きを読む ドアの向こう側

Hola, Mexico!

 一月の終わり、真冬のニューヨークからグレイハウンドで二泊三日、朝日が登る前にテキサス、ラレードに着いた。 未だに早朝の静けさを保つイミグレーションオフィス、昇る朝日を浴びながら国境の橋をひとり歩いて渡る。 橋の向こうは… 続きを読む Hola, Mexico!

ハウスキーパー

 アテネ市内の高級アパートにハウスキーパーとして住んではいるが、何もしない。   ハウスキーパーと呼ばれてはいるが、本当のところは緊急事態に備えたレスキュー要員として常駐している。 だから何もしないが、気ままにアムステル… 続きを読む ハウスキーパー

バイト初日

 「あれ、新人さん?」  「はい、今日からバイトで入ったカサゴといいます。 よろしくお願いします」  「俺、スズキっていうんだ」  「スズキさんですか、ご指導よろしくお願いします」  「カサゴ君さあ、そんな気を使うことな… 続きを読む バイト初日

メキシコに行くなら

 メキシコに行こう!  冬のアテネは寒い。 どのくらい寒いかというと東京の冬ぐらいに寒い・・・という訳で、避寒に中米メキシコに行くことにした。 メキシコに行くならばスペイン語会話集のページをめくろうとも思わないでもないが… 続きを読む メキシコに行くなら

評判の余りよろしくない星 Part 2 気まぐれプライベーター

 宇宙船に故障が発生、緊急避難として一番近い星に着陸することにした。 この星の評判が余り良くないことを知ってはいるが、メイン動力システムのトラブルなので仕方がない。 外宇宙レスキュー組合のストが噂になっている今、漂流船に… 続きを読む 評判の余りよろしくない星 Part 2 気まぐれプライベーター

評判の余りよろしくない星 Part 1  空を飛ぶペンギン

 彼は驚いた。 ペンギンが空を飛んでいる。  以前からペンギン学会ではペンギンが空を飛ぶという噂が流れていた。 その噂を確かめるために学会は密かに彼をこの観測ポイントに派遣していた。  彼は酒も飲まなければタバコも吸わな… 続きを読む 評判の余りよろしくない星 Part 1  空を飛ぶペンギン

青い空と、碧い海

 何もない、何もすることがない。 ただ青い空と碧い海・・・それがギリシャの小さな島でのバカンス。 出会う人といえば何もないことを楽しむ旅行者、そして数千年前から青い空と碧い海との暮らしが変わらない村人達。  あり余る時間… 続きを読む 青い空と、碧い海